セフォラが、欧州の若いビューティーブランドを対象とした育成賞SEPHORA Prizeを立ち上げる。受賞者が得るのは3年間の支援。一方、小売業者が得るものは別にある。
ビューティー業界は長らく、ブランドがつくり、小売業者が売るという明確な役割分担のもとで動いてきた。初開催のSEPHORA Prizeは、その境界を曖昧にする。セフォラは、欧州で最も有望な若いビューティーブランドを発掘し、支援する育成賞を発表した。対象はスキンケア、メイクアップ、フレグランス、ヘアケアと、すべてのカテゴリーに及ぶ。受賞者には3年間の支援と欧州規模での市場展開が提供される。欧州のブランドが応募できる。
売り場の棚から研究室へ
この取り組みは、まず逆方向の調達活動として読める。若いブランドが他所で実績を示してから棚に迎えるのを待つのではなく、セフォラは早い段階で見いだし、構想の段階から資金を投じ、市場投入まで育てようとしている。小売業者はもはや商品を取り扱うだけではない。選び、育成し、展開する。3年間の支援とは、処方開発から市場投入までの一巡に必要な時間であり、生まれたばかりのブランドが購買習慣になるまでの時間でもある。
この仕組みは、他の産業が長く経験してきたことを思い起こさせる。自らの供給者に資金を出す大きなプラットフォームは、単にサービスを提供していると主張する市場を、結局は形づくっていく。革新の多くが独立系から生まれるビューティー業界では、萌芽期の創造性を競合より先に捉えることは大きな優位となる。この賞は慈善的な支援ではない。次世代を見渡す、恵まれた観測地点なのだ。

この一手が語ること
若いブランドにとって、その利点は現実的だ。新興ブランドの最大の障壁は流通へのアクセスであり、確立されたネットワークに支えられた欧州での展開は、何年もの営業努力を一気に省く。一方、その裏面も率直に指摘する必要がある。自分を流通させる相手に発掘されることは、早期の依存を受け入れ、成長の速度を第三者に委ねることでもある。一方で得る自由は、他方の結びつきによって支払われる。
また、小売業者は発掘者を名乗ることで、それまで手にしていなかった物語を取り込む。始まりの物語である。ビューティーブランドは、その誕生、創業者、最初の着想から価値を得る。小売業者は初期段階から関わることで、その物語が書かれているまさにその瞬間に、自らを結びつける。販売の場から創造の場へ。目立たないが深い、力の移動だ。
初回にどのブランドが選ばれるのか、どのような基準によるのかは、まだ見えていない。賞は、その意図と同じくらい受賞者によって評価される。SEPHORA Prizeが市場に見過ごされていたはずのブランドを見いだすなら、約束を果たしたことになる。いずれ成功していたはずのブランドを加速させるだけなら、近道が一つ増えるにすぎない。その答えは初回の結果が示すだろう。
欧州のブランドを対象とする応募受付が始まっている。申し込みはこちら。
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